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2010/03/01 第7回 厳冬の幻灯 ~オーホーツク

みなさんこんにちは。ぼくの旅も今回が最終章になりました。北海道の夜を旅するラストを飾るのは「オホーツク」
寒い季節だからこその道東ということで行って参りました。冬のオーホーツクといえば当然みなさんが思い浮かべるのが流氷、ですよね。
はい、今回はズバッと流氷だけに狙いを定めました。いつも、あちこちフラフラしている旅ですが、最後ぐらい一発で仕留めましょうと。とは云っても流氷というものは気まぐれでございます。実は今回の旅の一週間前、写真仲間と道東へ行ってあちこち廻ったんですが、流氷は拝むことができませんでした。なので、今回は「星と流氷を仕留めなければ帰れない」という覚悟が必要でした。

流氷に関しては海上保安庁のホームページで情報が出ていますが、更新は一日一度だけ。そして問題は星が出る日と流氷を絡めることができるのか?という問題が。それに、ぼくも毎日遊んでいるわけではないので(笑)当然自分のスケジュールと照らし合わせ「今日しかない!」ということに。幸い、密度の濃そうな奴がオホーツクに来ている。それも、知床半島沿いがよさそうだと。

ギリギリまで天候調査をして、札幌を夕方に出発します。一般的な天気予報ではなく、航空用の気象情報を仕入れて空に占める雲の割合を読んで目的地を設定し、向かった先は斜里町。紋別や網走では濃ゆい流氷が望めないので、出来る限り遠方を目指しました。
札幌からは道央自動車道で、旭川~丸瀬布を経由し、斜里にたどり着いたのが深夜0時。空には星が輝いて...あれ。ない。ないのよ、星が。いや、ホント真っ青。空じゃなくて、ぼくの顔が。

じゃあ、もう思いっきり知床付近まで行きましょうと、さらに斜里町中心街からウトロ方面へ車を走らせます。はるばる来ちゃったなあ、ウトロ。海岸沿いに目をやれば「あるある!流氷がびっしり」なんだけど、空が...
じゃあ、とりあえずいい具合の流氷を探してその空の下で雲が晴れるまで待ちましょう。どうせ、朝までここにいなきゃならんのですから。

そうして、ようやく午前3時頃雲が薄くなって来ました!はぁ、今夜は気温マイナス15度。でも、そんなに寒く感じないのってどういう体なのかしらと。

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まだ雲が残っているけど、わずかなチャンスを逃せばまた曇ってしまうかも、と慌てて撮影に取りかかります。今回はカメラを三台用意しています。三脚は二本だけ立ててアングルを決めます。流氷と云ってもはるか沖合の流氷は雪原と変わりなくぼくのイメージするものとはちょっと違う。やはり流氷は塊が浮いていないと絵にならないので、そういう場所を探してみる。ガツン!と迫力のある流氷はなかなか難しいけど、ここが一番よかったかな。

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なんとなく雲があったおかげでオーロラのように見えなくもない...?と自己満足しているうちに、どんどんまた雲が広がってくるのです。こりゃ、急がないとと慌ててシャッターを押しまくる。
実は、カメラのファインダーを覗いても実際は真っ暗で何も見えていないんです。仕上がった画像をモニターで確認して再びアングルを決めて、ということを繰り返しています。でも、この景色は生で見るのが本当は一番。遠くまで来ちゃったけど、やっぱり見られてよかった。

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結局星が見えたのはわずか30分だけでした。いや、それでも運が良い方でしょう。実は、今年は流氷があまり観測できていないんです。この原稿を執筆している2月下旬でもすでに遥か沖合まで流氷は遠ざかっており、沿岸部に残っているのは欠片ばかり、という状況だそう。旅人が流氷を見られるのは、もう運任せであると現地の方も云っていました。温暖化の影響かどうか、明言することは難しいのですが例年3月中旬でも観測が可能であった流氷、オーホーツクの名物ですからちょっと寂しい話です。

さて、夜が開けるのを車の中で待ち、いい色合いになる空を仕留めようと考えていたのですが...空が明るくなって来たもののオレンジに染まるイメージではなく水色の夜明けでした。

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それはそれで、アイスブルーの流氷を撮影するならいいじゃないかと。流氷の上を少しだけ歩いてみたけれど、本当は危険なので自己責任ですね。割れている部分もあるので慎重に足を進めますが、ズルッと滑る所もあって、ちょっと怖かったかな。それでも、今、自分は流氷のど真ん中にいるんだという満足感だけはあります。

アイスブルーの流氷画像をクリックすると拡大表示します。

朝、この時点でちょうど7時になりましたが、何やら岸辺から人影が。ああ、これって流氷の上を歩くツアーですね。ドライスーツに身をまとった方々がゾロゾロいらっしゃる。うーん、なんだか楽しそう。

流氷ツアー画像をクリックすると拡大表示します。

じゃあ、ぼくも観光客らしく何かやってみましょうと流氷を持ち上げてみました。欠片だけど、立派な流氷。できれば持ち帰ってみたかった。でも、このまま置いてゆくのもアレなのでなめてみました。うん、全然しょっぱくなかった...まあ、塩分が濃ければ凍りませんものね。残念ながらクリオネはいなかったけど。

流氷の欠片画像をクリックすると拡大表示します。

さて、これからどうしようか。すぐに帰るってのももったいないけれど、ゆっくりする時間もなくて今日の夜までには札幌に戻っていなければなりません。(しかし、いつも時間のない旅ばかりしてます)
そこで、名所であるオシンコシンの滝へ行ってみることに。朝早ければ人も少なくてゆっくり見られるかと思いきや、早朝にもかかわらず観光バスがひっきりなしに駐車場に。さすが、人気のオホーツク観光、冬こそ北海道ですね。それはそれで嬉しいものです。

オシンコシンの滝画像をクリックすると拡大表示します。

オシンコシンの滝は流れが二つに分かれており、繊細な美しさを楽しめます。しかもこの時期は一部が凍結し、美しさを引き立てていますね。これは、まざに自然の芸術。日本の名滝100選にも選ばれています。

オシンコシンの滝画像をクリックすると拡大表示します。

さて、斜里町を後にして札幌へ戻る道すがら、オホーツク海沿いに車を走らせます。せっかく来たんだから、オーホーツクっぽい鉄道の写真も一枚くらい撮りたいじゃないの、という隠れ鉄なぼくのこと。有名な北浜駅にて列車を待ちます。北浜駅はJR釧網本線の中でももっとも海に近い駅。しかも、中国映画のロケにも使われたこともあって中国からの観光客がすごいとか。いや、実際列車でやってきた中国の方もいらっしゃいました。

北浜駅画像をクリックすると拡大表示します。

丁度網走に到着する頃、お昼になったので道の駅でお食事でも...網走の道の駅には大きなレストランがあってメニューも豊富。また、流氷観測船おーろら号の発着場所にもなっていることで、とても賑わっています。さて、何を頂こうか、いろいろあるので迷いましたが...やはりここはネタを提供しなくてはなりません。普通の食事ではダメでしょ、ということで「オホーツク流氷カレー」に挑みましたよ。

オホーツク流氷カレー画像をクリックすると拡大表示します。

どうですか、この鮮やかなブルー。オホーツク海に相応しい色合いと浮かぶ流氷をイメージしたチキンの見事さ。いやー、頼んでおきながらちょっと度肝を抜かれましたね。周囲からは「うわ、チャレンジャーだあ」という声が聞こえました。なんだか恥ずかしい。
確か、以前どこかで見たのは白いカレーだと思ったんですけど、ここのは見事にオホーツク海。うーん、微妙な雰囲気。味は確かにカレーです、間違いなく。目をつぶれば香ばしいナンとスパイシーなカレーが見事に調和しているのですが、目を開けるとちょっと...まあ、なんとも評価の難しいカレーです(笑)。

実は、車を走らせ斜里町から網走方面は流氷がありませんでした。昨晩ウトロまで頑張って走ってよかった。やはり最後くらいきれいな星を出さないと終われませんもの。ぼくは天文写真については門外漢だし、このコラムで満足するような写真はあまり撮れなかったかもしれません。
でも、旅というのはそういうもの。いつもベストな状態で見たいモノが見られるとは限りません。それでも、旅をする理由は「出会い」を求めているからに違いないです。何に出会えるかわからないのが面白い訳で。そして写真というものは被写体が一番エラいということ。カメラマンでも機材でもありません。

今回、コラムのために旅をさせて頂いて本当に楽しかったです。北海道という恐ろしく広いエリアにいくつもの魅力があって、その歴史を知ったり文化に触れたり。星空のもと、昼間とは異なる視界に新たな感動を頂きました。ぜひ皆さんも北海道をもっともっと旅をして下さい。毎月お付き合い頂きまして、本当にありがとうございました。

◆オホーツクへのアクセス
道央自動車道で旭川方面へ向かい、比布JCTから国道450号線(旭川紋別自動車道/無料区間)を通り、丸瀬布ICからは国道333号線を走ります。紋別へ向かうには遠軽から国道242号線へ。網走へはそのまま国道333号線を走り、端野で国道39号線に入ります。そのまま美幌~女満別を経由して網走まで行きます。斜里へ行くには網走から向かうコースと、美幌から国道334号線を通るルートがあります。昼間、海岸線を楽しみながら向かうのであれば網走経由がいいと思います。
オホーツク沿岸には道の駅も多数あり、トイレ、休憩などにも不自由はありません。(ざっと沿岸付近でも10箇所あります)
詳しくは北海道地区「道の駅」連絡会の公式サイト(http://www.hokkaido-michinoeki.jp/index.html)をご覧下さい。

◆おすすめ撮影ポイント
●紋別はオホーツクタワー付近の眺めがいいでしょう。流氷が接岸していれば漁港でも見られますが、港の中だけの結氷ということもありますし、もし流氷がなくてもタワー内部の海中窓から見られる自然の魚達を楽しむこともできます。また、紋別の海岸線は日の出が美しく流氷があれば、オレンジ色に染まるすばらしい景色が堪能できます。
詳しくはオホーツクタワーのHPへ。(http://www.o-tower.co.jp/towerframe.html
●網走沿岸での流氷観測は市街地より斜里側がいいと思います。釧網本線沿いにある北浜駅付近は展望もよく、見応えがあります。天気が良ければ知床方面を望めます。
●斜里町の海岸線は漁港以外に近づけるポイントが少ないため、ウトロ方面の方が流氷観測には向いています。ウトロの海岸線沿いならば降りてみられるポイントが点在しており、また駐車帯も多くあります。ただし、流氷の上に乗る行為は危険を伴います。くれぐれも自己責任で注意をしてください。
●オホーツク沿岸や周囲の山など、撮影に適したポイントは数多くあります。有名なポイントよりも、ちょっと目線を外した国道から逸れた場所などにぜひ足を運んで下さい。道東ならではの大自然を堪能できると思います。

◇その他
流氷の情報はいろいろなサイトで知ることが出来ます。
以下にリンクを貼っておきます。
「第一管区海上保安部」http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN1/1center.html
「気象庁/解氷のデータ」http://www.data.kishou.go.jp/kaiyou/db/seaice/dbindex.html
「流氷サイト」http://www.noah.ne.jp/ice/
●ウトロにも24時間開いているコンビニがあります。夜間でも食料調達が可能です。


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プロフィール

写真家 上原稔 / UEHARA MINORU
写真家
上原 稔
UEHARA MINORU

1960年秋田県生まれで札幌育ち。東京、札幌で写真スタジオ勤務後、富士写真フイルム株式会社(現・富士フイルム株式会社)札幌営業所勤務。

会社員生活を20年経て2年前に独立し、現在はNHK文化センター北海道総支社にて写真教室の講師などを行っています。得意な写真分野は「町」「夜」「旅」など。

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http://ariaribox.exblog.jp/


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