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2010/02/01 第6回 地上の星 〜函館
みなさん、こんにちは。北海道は冬期営業中、寒さもますます本番化しつつありますが、雪がドカドカ降ったり、暖かくなったりの繰り返しでどうにも落ち着かない日々が続きますね。そんなとき、体調を崩しやすいようですから、ぜひご注意を。
さて今回の旅は歴史のまち「函館」。北海道の観光地でも非常に人気の高い場所ですが、今回はみなさんにまずお詫び。え、また?稚内の時にも謝っていたような、とか云われそうですが。実は今回「星」がありません。1月下旬、毎日天気予報と自分のスケジュールをすり合わせ...頑張りましたが、向かったときは「雪」の予報。
いや、日頃の行いがいいので予報を覆すことができるんじゃないか...なんてーのは甘かったです。やはり行いが悪かったようです。(反省)
まあ、函館は見所いっぱいだからそういう観光案内にしてしまおう!うん、それがいい。今回は夜の函館を見て歩こう、と決めてみました。
函館といえばやはり定番、函館山からの夜景...と誰もが思いますよね。でも、それはここで今更紹介しても裏道旅じゃないわけで。と、まず向かったのは夜の雰囲気がいい元町界隈。ここも古い寺院や教会などの有名なスポットがたくさんあります。でも、夜に映えるのは「函館旧公会堂」でしょう。
函館港が開港したのが、1859年で横浜、長崎とともに昨年開港150周年を迎えました。幕末から明治への激動の時代、函館は外国との貿易も盛んになり、北海道でもっとも人口の多い地として栄えました。その後、政治経済の中心が札幌に移されても、函館は陸交通や商業の拠点として栄えたのです。多種多様な方々との交流、名士たちの憩いの場として公会堂は明治43年に建設されました。今も非常に状態がよく様々なイベントも行われています。函館の地元の方々の資金提供、そして地元の方による設計や施工が自慢のランドマークとして今も市民に愛されている公会堂、その姿は夜にこそいっそう見栄えすると思います。あの頃、夜の舞踏会はどれほど素敵だったのか、そんな光景を頭に浮かべてシャッターを...
旧公会堂の真下にも趣きがある建造物が。これが「函館市写真歴史館」です。北海道で写真を営むもの(もちろん趣味としても)ならば一度は見ておきたい場所の一つだと思います。
函館は日本の中でも写真が非常に早くから導入されて、幕末から明治にかけての貴重な写真がいくつも残されている希有な町でもあります。嘉永7年(1854年)、あのペリー提督が日本へ来た時、函館にも立ち寄り、同行していた写真家ブラウンが函館の市街地やペリーを応接した松前藩士達を撮影したものが「日本最古の写真」として残っています。(展示は複製)
また、古いカメラや当時の文化を偲ぶ用品なども保存展示されており、非常に見応えがあります。一階は元町の観光案内所、二階が写真歴史館になっています。この建造物、実は北海道庁函館庁舎として明治42年に建造されたもの。
それにしても、今の時代は夜に撮影するにしてもデジタルカメラであれば本当に簡単です。明るい夜景ならば手持ちでも撮影できるカメラが多くなりましたし、じっくり三脚で腰を据えた撮影ならばどんな被写体にも対応できます。当時の写真機での撮影では大変な苦労があったはず。ここは、気を引き締めてちゃんと写さねばならないとあらためて背筋が伸びる思いです。
さらに元町を歩いてみましょう。函館の元町地区を中心に2月28日まで行われているのが「はこだてイルミネーション」。坂道の多い元町地区を彩る灯りが実にロマンチックです。色とりどりの派手なイルミネーションとは趣きが異なり、景観を重視した灯りが暖かみを感じます。おすすめなのが「八幡坂」と呼ばれる通り。
函館西高校前から港を望む坂道で、けして広くはないものの静寂な道を演出するイルミネーション、そして遥かに見えるメモリアルシップ、保存されている青函連絡船「摩周丸」が浮かび上がります。写真は遠方がややかすんでいますが、これは降りしきる雪のせい(いや、おかげ、と云っておきましょう)です。
さて、夜の町を散策すればちょっと体も冷えてくる頃。ここは、ちょいと暖まりに行きましょうか。どこへ?そりゃあ暖まるといえば温泉。有名なのは湯の川温泉ですけれど、地元の方が毎日通うところが面白いでしょう。で、向かったのは「市営谷地頭温泉」です。谷地頭温泉も観光スポットになっているとはいえ、愛媛は松山の道後温泉とはちょっと趣きが違いますね。どちらも市営ですし、しかも市電で行けるというのも似ていますが...
谷地頭温泉は住宅地の中ですし、周囲にお土産店もありません。どちらかといえば銭湯風情といったイメージでしょうか。しかし、茶色く濁ったナトリウム・塩化物泉お湯の質もいいし、熱くて気持ちがいい!泊まりはビジネスホテルでも、お風呂はやっぱり谷地頭だよね、と云う方が多いのもうなずけます。広い湯船を囲む洗い場、そして五稜郭をイメージした五角形の露天風呂も一度は入ってみたいもの。
また、谷地頭は市電の終着地でもあります。住宅地の静寂さが電停の雰囲気を際立たせて、とっても旅情を感じます。ぜひ、ここは市電で行って頂きたいところ。
市電は函館市民の足でもありますが、観光にも大変便利です。路線は昔より短くなっているとはいえ、重要な拠点を結んでいますから是非利用したいものです。
しかも、こんなイルミネーション電車に当たったら...こりゃ、幸せが絶対に訪れるに違いないとひそかに喜んだりして。
じゃあ、せっかくだから夜の裏道旅に相応しいスポットは、とマニアックな場所へ向かってみます。市電のネグラ、そう車庫ですね。ここは「駒場車庫」と呼ばれる拠点。なんとなくレトロな風情が、また泣かせます。一日のお仕事を終えて眠りにつく電車達の愛らしいこと。(と、思うのはぼくだけだろうか?)
マニアックついでに函館市郊外、北斗市(旧上磯町)にある太平洋セメント上磯工場にも足を伸ばしてみました。漁港から眺める工場がとてもキレイでうっとり(するのは、やっぱりぼくだけ?)です。
このセメント工場は非常に大規模なもので、国内の様々な場所へ船でセメントを運搬しています。そのため、桟橋が必要なのですが海が浅いため、はるか沖まで海上桟橋が延々と伸びています。これがまた夜に見るといいんだよねえ。ちょうど今夜は船へ積み込み作業が行われておりました。寒いのに、こういう光景ならいくらでも見ていられるというのもぼくは特異体質なのでしょう。
函館の夜は本当に楽しい。いくつものライトアップされた建物や路、港に感動しつつ歩けば、あっという間に時間が経ってしまいます。ええ、星がなくても見るべき場所はたくさんありますもの。でも、それは云い訳じゃないのか?...はい、そうです(笑)。じゃあ、やはり星ですよね。
実は今回の旅で一番最初に立ち寄ったのが「五稜郭」。幕末の歴史には欠かせない五稜郭、そしてぼくも尊敬する土方歳三最期の地。 夜の五稜郭では、2月28日まで「五稜星の夢」というイルミネーションイベントが行われています。17時から22時までライトアップされた五稜郭、市民ボランティアによる灯りのイベントは五稜郭タワーから見るのが一番。
17時からは入館料が割引になり、通常840円が760円になります。ここからの眺めもやっぱり見ないと損した気分になりますよ。せっかく函館へ訪れたら寄りたい場所としてマークしてください。どうですか、この地上の星の美しさ。(なお、ここで撮影するならば、かなり広角のレンズが必要です。タワー最上階からでも、普通のカメラレンズでは入りきりません)
日本では二つしかない五角形のお城、とても美しくこの景観こそ北海道の遺産に相応しいなあと、しばし見入ってしまいました。今時期であれば、お堀は雪で覆われますが、それもまた灯りを引き立て、春になれば桜も咲き誇り、夏は緑が映え、秋は彩りを添える。四季を通じて楽しめる場所としておすすめです。
また、函館市内全域を見渡すことも当然可能ですし、函館や五稜郭にまつわる歴史についても触れることができます。函館山を望む景観も楽しめますし、函館の夜歩き、ここからスタートするのがいいと思います。
函館は見所が多いため、昼のスポットと、夜に楽しめる場所をきちんと分けてスケジュールを組みたいものです。少なくとも、ここ五稜郭、元町界隈は夜に訪れることをおすすめします。
今回は星空はなくても、じゅうぶん楽しめた夜遊びでした。
では、また次の旅でお会いしましょう。
◆函館へのアクセス
札幌方面からは自動車ならば国道5号線、あるいは道央道で八雲落部インターまで高速道路を利用するのが快適でしょう。冬期間はJRや飛行機の利用もおすすめです。列車の本数、飛行機の便数も多いため、スケジュールが如何様にも考えられます。また、市内中心の観光であれば移動も市電やバスが細かく走っているので公共交通機関が楽です。
◆おすすめ撮影ポイント
●元町界隈~ベイエリア
市電函館どつく行き、末広町電停で下車し、坂道を歩けば様々なスポットが点在しています。紹介した公会堂や写真歴史館の他、教会、寺院などライトアップされている建物を見て歩くのが楽しいです。また、和洋折衷の一般住宅や店舗も多く残されていて景観が素晴らしいです。
ただし、一般住宅を夜間に撮影すると怪しまれるケースもありますので、ご注意を。また寺院、教会は夜間立ち入り禁止の場所もあります。道路が狭いため、三脚の使用にも配慮が必要です。
「はこだてイルミネーション」は元町界隈の八幡坂、二十間坂、金森倉庫付近の二十間坂通り、などで行われています。木々に施された電飾がメインで景観にマッチした美しさが魅力です。周囲の建造物と併せて撮りたいです。
(はこだてイルミネーションは17:00~22:00、2月28日まで開催。詳しくは「はこだて冬フェスティバル実行委員会:電話0138-27-3535まで)
元町から港へ向かうとベイエリアです。金森倉庫、明治館、旧桟橋などの名所が並ぶエリアですがかなり広いのである程度的を絞った方がいいと思います。写真にして見応えがあるのは、周囲にある古い建築物やレンガの倉庫群でしょうか。また、路地裏の何気ない風情がまた独特です。港町函館らしさを感じるエリアです。
●函館市電
夜の電停や市電の雰囲気がなかなかステキです。函館駅前の電停、谷地頭の電停、湯の川の電停などがおすすめ。雪が多く降っていれば貴重な除雪のためのササラ電車にお目にかかれるかも。
駒場車庫へは「湯の川行き」へ乗車、駒場車庫前で下車。なお、車庫内へ立ち入ることはできません。車庫へ出入りする電車が歩道を横切るので気をつけて下さい。
市内の観光も市電が便利です。五稜郭へも市電で行くことが可能。観光にはお得な一日乗車券600円、また18時以降に乗り放題可能なトワイライトパス300円も便利。(ただし、トワイライトパスは3月末まで)
函館の市電はかなり古い車両もあり、車内の雰囲気も味わいがあって撮影しておきたいものです。
●五稜郭地区
五稜郭公園敷地内は17時で閉門となるため、早い時間帯は公園内、17時以降は五稜郭タワーへ行くことをおすすめします。タワーは19時までの営業で、館内には五稜郭の歴史を簡単に学ぶことができるコーナーもあり、とても楽しめます。カフェの営業は18:30までなので、ご注意を。
五稜星の夢イルミネーションは2月28日までの毎晩夜22時まで行われていますが、五稜郭の形がポイントなので、やはりタワーからの展望が一番無難です。また、撮影では三脚を使うことが難しい場所なのでカメラの感度をできるだけ高くすること、また窓へできるだけレンズを近づけてガラスの反射を防ぎましょう。
五稜星の夢についてはhttp://hakodate.to/hoshinoyume/
をご覧下さい。
◆函館写真歴史館について
入館料は大人200円、3月までは開館時間が9:00~17:00です。
詳しくは
http://www.hakodate-kankou.com/photo/index.phpをご覧下さい。
◇谷地頭温泉について
営業時間は:午前6時~午後9時30分(通年)
定休日 :1月1日、毎月第2・第4火曜日
入浴料 :小人(6歳未満)70円
中人(6歳以上12歳未満)140円
大人(12歳以上)420円
◇その他
●函館は一日だけでは廻りきれないほど見所が多いので、最低でも一泊は必要です。宿泊施設が多種多様で多いのも便利です。温泉は湯の川、ビジネスホテルも駅前、五稜郭に数多くありますので、観光の拠点として行きたいエリアを中心に探してみて下さい。
●飲食施設もどこに入ろうか迷うほど数が多いです。特にベイエリア周辺には路地裏を含め店が多いです。カフェも最近増えていますので、深夜帯以外なら困ることはまずありません。
●お土産で生鮮食料を買い求めるならば「中島廉売」という市場もおすすめ。函館名物と云えば駅付近の朝市が有名ですが、やはり観光客向けなのは否めません。中島廉売は地元の台所を支えてきた歴史ある商店街です。
函館駅前から市電湯の川行きで堀川町で下車、徒歩5分。中島町23-6
営業時間は9:00~19:00、露店は12:00~17:00
昭和風情を残す、風情ある市場へ一度足を運んでみて下さい。
- 第7回
厳冬の幻灯 ~オーホーツク - 第6回
地上の星 〜函館 - 第5回
幸せはここにある ~十勝 - 第4回
最果てに破れ散る ~稚内 - 第3回
北海道の炭鉱発祥地~三笠市 - 第2回
銀河鉄道の夜 ~旧富内駅 - 第1回
農学の夜は更けて...北海道大学

- 写真家
上原 稔
UEHARA MINORU
1960年秋田県生まれで札幌育ち。東京、札幌で写真スタジオ勤務後、富士写真フイルム株式会社(現・富士フイルム株式会社)札幌営業所勤務。
会社員生活を20年経て2年前に独立し、現在はNHK文化センター北海道総支社にて写真教室の講師などを行っています。得意な写真分野は「町」「夜」「旅」など。
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http://ariaribox.exblog.jp/













