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2009/08/07 第1回 農学の夜は更けて...北海道大学
皆さん、初めまして、写真家の上原稔です。このたび、当コラムを担当させて頂くことになりました。星を巡る、あるいは夜に見る素晴らしい景色を求めて旅をしようというコラムですが、もちろん夜だけじゃない、皆さんがあまりご存知じゃない北海道の一面をお伝えしようと色々秘策を練っているところです。まずは、第一回の旅として選んだのが「北海道大学」です。札幌市内中心部に広大な面積を持つキャンパスは、観光名所としても有名なポイントですが、札幌に住んでいるからといっても、じっくり大学内を散策したことのある方は意外に少ないのかもしれません。
北海道大学は、北海道の開拓史と密接な関わりがあるのはご存知かとは思いますが、明治6年に開校され、当初は「札幌農学校」と呼ばれていたことからもうかがえるように北海道を開拓し、ここが日本の希望の大地になるようにという思いが込められているような気がするのです。
札幌農学校が北海道大学と名前を変えたのは昭和22年のことですが、それまでに名称がいくつか変更されているとはいえ、やはり北海道大学といえば「農学部」であると僕は思います。もっとも歴史の長い学部である農学部の建物は、昭和10年に建築されたもので、近代建築としての美しさ、歴史を感じる素晴らしい建物です。
この建物は、夜になればちょっとしたライトアップもされるのですが、照明が明る過ぎて星と一緒に撮影するのはかなり厳しいので、わざわざ深夜、それも2時半頃に撮影するという怪しさ全開。おまけにです、ここ最近(というか、もう何日も)星空が出ないという日々でしたから、こりゃあたとえ深夜であろうと星が見える時が勝負とばかりに撮影に来た訳です。
しかし、驚いたのは深夜2時を回っても学生さんが構内をうろうろしているんですよ。農学部は札幌駅の北側に位置する北大の中でももっとも南側、つまり市内中心部にも近く周囲の街灯も影響して星空の撮影に好適とは云い難いのです。農学部の建物そのものの照明は落とされていましたが、やはり灯りが散見されることからも、学生さんなどが研究されているのでしょう。実際、撮影中にも数人の学生さんとおぼしき人が出入りしていましたもの。
そう、こんな深夜でも一生懸命に北海道、いや日本の農学のために努力している人がいる。そう思うと、思わずシャッターを押す手にも力が入るってものです。北海道の食料自給率は200%を超えると云われ、今ではお米の出荷量も日本一になりました。それもこうした農学の成果ではないかとも思えます。
画像は、雲がやや赤味を帯びているのはそろそろ夜明けが近いことを示唆しています。こんな時間に写真を撮っている人って、かなり怪しいですよね。でも、そこは真剣に被写体と対峙していればそういうオーラが出るはずなので、怪しくは見えないだろうと勝手に考えつつ、農学部の建物をしっかりおさめてまいりました。
北海道、星を巡る旅、ということを考えますと非常に奥深さを感じます。北海道章、というのをご存知でしょうか?いわゆる北海道のシンボルマークですが、これは開拓史の旗を元に七光星をイメージしたものなのだそう。そして札幌市の市章にもしっかり星が中央に描かれています。そう、北海道は星の国。そして澄んだ空気、と美味しい食べ物の国。そんな北海道の歴史を踏まえて最初に選んだのが北海道大学農学部、というのがおわかり頂けましたでしょうか。さあ、これから僕の旅が続きます。
- 第7回
厳冬の幻灯 ~オーホーツク - 第6回
地上の星 〜函館 - 第5回
幸せはここにある ~十勝 - 第4回
最果てに破れ散る ~稚内 - 第3回
北海道の炭鉱発祥地~三笠市 - 第2回
銀河鉄道の夜 ~旧富内駅 - 第1回
農学の夜は更けて...北海道大学

- 写真家
上原 稔
UEHARA MINORU
1960年秋田県生まれで札幌育ち。東京、札幌で写真スタジオ勤務後、富士写真フイルム株式会社(現・富士フイルム株式会社)札幌営業所勤務。
会社員生活を20年経て2年前に独立し、現在はNHK文化センター北海道総支社にて写真教室の講師などを行っています。得意な写真分野は「町」「夜」「旅」など。
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